「そこでしかできないこと」を離れた場所で実現する。以前は当たり前のように会社に通勤してこなしてきた仕事を、会社に行かず、場所を限定しないでやるのがテレワーク、リモートワークだ。
テレとかリモートとかもう古いかも
テレやリモートは「遠隔」という考え方に基づく。会社に行かない結果、通勤が不要になってラッシュも緩和され、新型コロナ感染防止に貢献することができるかもしれない。さらに、コロナ禍が落ち着いたあとも、介護や育児といった事情で通勤が困難な人材が、ずっと働き続けられる社会を築くために貢献するだろう。現役世代のみならず、高齢者自身の社会貢献の機会も提供する可能性がある。若い世代にとっては将来の自分に対する投資でもある。
「そこでしかできないこと」を排除することができれば、仕事はどこでもできるようになる。シンプルな話だが、そうはいっても、世の中、場所を限定する仕事はいっぱいある。たとえば、商店やレストランも店のある場所に客を迎えるために、特定の場所で営業する必要がある。高額な測定器や設備の必要な研究業務なども同様だ。さらには、ものづくりの現場にも同じことがいえる。
そこでしかできないことを排除する
でも、そうじゃない仕事もたくさんある。たとえば、商店というビジネス形態を考えても、はるか昔から実店舗をもたない通信販売という形態が成立してきた。今風の言い方をすれば仮想店舗ということになる。レストランだって屋台などはリアル店舗を持ち運ぶモバイル店舗の先駆けだ。
昔は、米国のパソコン雑誌を定期購読し、広告ページをなめるように見ながら、日本では手に入れにくいアプリパッケージを見つけ、FAXで注文して入手していた。そのアプリでさえ、今は、リアルパッケージではなく通信で入手ができるようになっている。もっと古くは電子部品を通販で手に入れて工作したりもしていた。片田舎の街の中学生が必要なパーツを集めるには通販に頼るしかなかったのだ。100年以上前にこうしたビジネスのスタイルを発見し、実践してきた先人たちは、ものすごい先見の明があったのだろう。
自分の仕事を総括し、そのために必要なものを洗い出して「そこでしかできないこと」を、なんらかの方法で排除できないかどうかを考えてみよう。あるいは仕事の内容をじっくりと再考すれば、絶対に必要だと思っていたものが、本当はなくてもよかったということが判明するかもしれない。こうして社会は少しずつ変わっていく。
在宅勤務とテレワーク、リモートワークは似ているようで違う。実際には、テレワークという大きなくくりの中のひとつの形態が在宅勤務だ。そこをごっちゃにしてしまうと、いろいろとややこしい問題に直面することになる。在宅勤務については機会を改めて考えてみることにしよう。