いきなりテレワークと言われて、何十年も続けてきたスタイルを、今さら変えろといわれても困る。そういう気持ちはとてもよくわかる。でも、変えなければ生き残れないかもしれないという危機感を持つことも大切だ。とにかくできることから始めよう。
小さな革命が働き方を変える
テレワークのためには「そこでしかできないこと」を可能な限り撲滅することが求められる。
卑近な例で考えてみよう。たとえば携帯電話が登場し、ポケットに入れて電話機を持ち歩けるようになって、ぼくらはいわゆる固定電話のしがらみから脱却することができた。たかだか四半世紀前の話だ。
いや、それまでにも革命はあった。たとえば留守番電話がそうだ。昔はカセットテープだったのを思い出す。留守中に電話がかかってきたときに自動で応答し、相手のメッセージを録音してくれる。外出中に、着信しているかもしれない電話が気になる場合は、自分で電話をかけて、公衆電話のプッシュボタンでコマンドを打ち込んで録音されたメッセージを聴くこともできた。プッシュホンが使えないときのために、コマンダーと呼ばれるアクセサリを持ち歩いていたこともあった。
小さな一歩を積み重ねる
駆け出しのライターの頃は、連絡手段の第一は事務所兼自宅の電話だった。発注のほとんどすべては電話でやってくる。まさに命綱だ。それをおろそかにするわけにはいかない。だから、なんとしてでもかかってきた電話を逃すまいと懸命だった。
ただ、電話にまつわるいろんな不便の多くは、そのうち携帯電話がすべて解消してくれた。今は、転送電話などのサービスも充実しているし、携帯電話もある。そんな簡単なことでも革命は革命だ。どうだろう、事務所でしかできなかったことのひとつである固定電話番という「そこでしかできないこと」は、なんとか無くせそうだという気持ちになってきただろうか。こうした小さな要素を、ひとつひとつ解決していくことで、働き方を変えていく。何らかの方法で、これまでのシバリを解く。
こうした方法を、ITの世界では仮想化と呼んでいる。固定電話を仮想化することで「そこでしかできないこと」を「いつでもどこでもできること」に変えるのだ。働き方改革はそんな小さな一歩の積み重ねだ。