パーソナルコンピューターというくらいだから、普通は一人が専用の一台を所有して使うのが理想だ。だが、一般の家庭においては、スペース、コストなどの理由から、なかなかそれが難しく、一台のパソコンを複数の家族が共有せざるをえない場合もある。そんなときには、パソコンを共有するために用意された仕組みをうまく使おう。
Windowsにユーザーごとのアカウントを設定
Windowsには昔から、複数のユーザーアカウントを登録しておき、使うときにサインインして、自分専用のパソコンとして使うための機能がある。Windows 10なら[設定]-[アカウント]-[このデバイス上のユーザー]で自由に追加できる。
アカウントの種類として「管理者」と「標準」の二種類がある。大人のアカウントを設定する場合には、どちらでもいいが、誰か一人だけは「管理者」にして、制限なく、そのパソコンの設定等を変更できる権限を持つようにしておかなければならない。
管理者は、その気になれば、別のアカウントのファイルなどにもアクセスできるので、アカウントを別にした意味がないようにも感じる。でも、個々のユーザーが大事なファイルはクラウドに置くことにしておけば、あのファイルを見たとか見ないといったいざこざも回避できるだろう。子どもに与えたパソコンを親が拝借するような場合もアカウントがあれば便利だ。
追加するアカウントが子どものものの場合は、ファミリーグループでの追加という手もある。こちらの方法では、活動記録のレポートや使用時間野スケジュール設定、コンテンツフィルターの設定などができる。
使うときだけサインイン
こうして複数アカウントを設定しておけば、パソコンを使い始めるときにサインインすることで、自分専用のデスクトップを使える。背景、いわゆる壁紙なども個々に設定できる。アカウントごとの作業は別のユーザーが把握することができない。だから、基本的なプライバシーを守って複数アカウントで一台のパソコンを共有できる。
家族が三人ともサインインしたままといった状態が維持される。ただし、同時に使えるのは一人だけだ。書きかけの文書を未保存のまま開いた状態で誰かがサインインしたままだと、パソコンを再起動したりする際に、文書の内容が失われる可能性がある。
だから使い終わったらサインアウトするという習慣をつけたほうがいいだろう。最新のパソコンなら顔認証でサインインができるので、パソコンに向かうだけで自分のデスクトップを簡単に使い始めることができる。
アカウントを設定するまでもないが、ちょっとだけパソコンを使いたいという場合、ブラウザでの作業ならシークレットモードを使うという手もある。検索履歴やパスワード入力など、そこでの行動は保存されない。
もっとも、本来の持ち主アカウントでの行動は、シークレットモードにも反映されるので注意が必要だ。夫がメール閲覧のパスワードをブラウザに覚えさせていた場合、妻がシークレットモードで使ってもパスワードの自動入力が有効になることは覚悟しておこう。シークレットモードは借りる側には有利だが、借りられる側にはちょっと不利だ。やはり共有にはアカウントをきちんと設定することをおすすめする。