複数のメンバーでなんらかの成果物を作っているとき、作業途中のファイルをどのように扱えばいいのだろう。それぞれの担当箇所がバラバラだったり、役割分担もあるだろう。しかも、それぞれが別の場所にいるとしたら。
送ればコピーがたくさんできる
普通に考えれば、作業途中のファイルをメールに添付して全員に送り、受け取った側は、それを開いて、コメントなどを書き込むなり、直接、加筆修正して完成に向ける。だが、ファイルを送った相手が複数人の場合、それぞれがそれぞれファイルに変更を加えてしまうことになる。それをまたメールに添付してやりとりすると、もう、何がなんだかわからなくなってしまう。ちょっとずつ中味の違うコピーがたくさんできてしまい、それを最後に統合してひとつにまとめるのがたいへんになってしまう。
こうした混乱を避けるためのもっとも簡単な方法は、誰かがファイルの内容をいじっているときには、他の人はノータッチでいるという手法だ。でも、せっかく複数のメンバーが関わっているのに、同時に作業することができないのなら共同作業の意味がない。
ファイルではなくリンクを送る
実体としてのファイルを送ってしまうからこういことが起こる。では、どうすればいいかというと、ファイルの在処を共同作業者に知らせ、直接、そのファイルを編集してもらえばいい。誰かが加筆修正などをしている間にも、追加の部分を書き進めることができる。複数のメンバーがよってたかって、ひとつのファイルによってたかって手を加えていく。
MicrosoftのOneDriveやGoogle Driveなどのクラウドストレージサービスを使えば、こうしたことがカンタンにできる。自分の手元にファイルがあるわけではないので、パソコンがスリープしていても関係ない。全員がクラウドにあるファイルを参照するからだ。
クラウドストレージにファイルを作り、ある程度原型ができたところで、そのリンクを共同作業者全員に知らせる。WordやExcelならウィンドウの右上に「共有」というボタンが見つかるはずだ。それをクリックすればファイルへのリンクを作れるので、それをメールなどでメンバーに送ればいい。Windowsのエクスプローラ上でも同様のことができる。
それぞれのメンバーごとの役割は、あらかじめ打ち合わせておく。文章担当、装飾担当、全体構成担当といった具合だ。心配ならパスワードを設定することもできる。リンクそのものが呪文のようなランダムな文字列なので、あまり深く考える必要もないだろう。自分で考えるパスワードより複雑だ。
そして、同時に同じファイルを開いて、各自が任意のタイミングで加筆修正していく。あるメンバーが1ページ目を推敲して加筆修正している最中に、別のメンバーが3ページ目を新たに追加執筆し、三人目のメンバーが、頭から書式を整えていくといったことができる。これでこそ共同作業だし、デジタルならではだ。
入力文字列で会話ができるくらいにスピーディに編集結果が反映されるという点ではGoogle Driveに軍配が上がるが、Windowsと統合されている便利さにこだわるならOneDriveがいい。ぜひ、試してみてほしい。一人で複数台のパソコンからやってみると仕組みが手に取るようにわかるはずだ。