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2020/09/24

表(ひょう)だからExcelで作るとは限らない


 これから作る文書の種類に応じてアプリを使い分ける。これが今までの当たり前だ。その当たり前をちょっと変えてみたら何が起こるのか。

餅は餅屋

 文書を作るならWord、表を作るならExcel、プレゼンテーション用のスライドを作るならPowePointと、Officeアプリは目的に応じたものを使う。だが、名簿のような表を作るなら、どのアプリを使うのがいいのだろうか。

 名簿も表形式だから、迷わずExcelという方も多いと思う。でも、計算を伴わない表ならWordで作るというのもありだ。Wordにも、それなりにExcelのような関数が用意されていて、縦横計算程度ならWordの中だけで完結できるのだが、さすがに再計算が手動といったことでは更新し忘れの可能性もあって不便だ。でも、文字だけの表であれば、Wordで作ってしまってもいい。

 世の中にはいろんな人がいて、たとえば、何から何まですべてをPowerPointですませてしまう人もいれば、Excelがあれば何もいらないという人もいる。とりあえずは人それぞれだ…。

 

キラーアプリ不在

 どんなアプリを使ったにせよ、できあがったものを誰かに見てもらうのには、PDFにして渡すか、アプリのファイルのままで渡すかが悩ましい。PDFにすることで、意図的、あるいは誤って改変されてしまうことを回避することができる。だが、データの再利用が難しくなるというデメリットが生じる。最悪の場合、紙に印刷するのと変わらないという矛盾をかかえてしまう。

 一方、アプリのファイルのままで渡す場合は、相手がそのアプリを持っていないと開いてもらえない。あのパソコンにはそのアプリがインストールされているが、このパソコンには入っていないという可能性もある。Officeのようなポピュラーなアプリならあまり心配はないが、AdobeInDesignファイルでは、渡された方が困るということもありそうだ。

仮に、何らかの作業をするのに超絶便利なアプリがあったとしても、そのアプリで作ったデータファイルを誰でも開けない限り、用途は限定されてしまうだろう。現時点で、その解はウェブに託されているといってもいい。多少、表現力が犠牲になっても、誰もがブラウザで閲覧編集作業をできればよしとするわけだ。

 結局のところ、今から作る文書は何のために作るのかというところから考え直さなければならない。最終的なゴールのみならず、作成のプロセスにおいて、何が必要なのかということも併せて考える必要がある。

 文字データの連なりなら、テキストファイルで十分のように感じられるが、他者の加筆修正や修正アドバイスなどを反映する必要があるなら、テキストファイルでは難しい。複数の人の手が入った個々のファイルが手元に戻ってきたときに、それらを束ねて、そのすべての情報をマージして元ファイルに反映するのもたいへんだ。

 パソコンを使って文書を作るのが当たり前になってすでに何十年も経過しているのに、今なお、データファイルについての新しい当たり前は明確に定義されず、そのまま課題として残っている。パソコンの世界では、キラーアプリという言葉があって、新しいアプリがパソコンの新しい使い方を提言してきたりもした。そんなムードが今はない。

 パソコンに乗り遅れたとか、縁が無い対象だと思うのはまだ早い。きっとこれからがおもしろい。