2020/09/30

なんでもかんでもExcelにしてみる


 あらゆる文書をExcelで作ろうといっているわけではない。Excelなどのスプレッドシートに文書を落とし込めるかどうかということだ。それができるようならデジタル移行はカンタンかもしれない。


買い物でもらったレシートをExcel

 紙の伝票があったとしよう。まあ、身近なレシートなどを想像してほしい。コンビニで買い物をしたようなときにもらう紙切れのことだ。

 発行されるレシートは店によって様々だが、まちまち様式で必要な項目が印刷されている。日付、店名、買ったものの明細とそれぞれの価格、税抜きの小計額、税込みの支払い額が記載されている。他にもいろいろ記載されているかもしれないが、ここでは、これだけを考える。

 このレシートをExcelのシートにするにはどうしたらいいだろう。レシートの体裁そのままで、明細を並べ、小計と合計を計算するように設定するのでは意味がない。同じレシートが何枚あっても1枚のシートに収まるようにしてみる。

 そのためにレシートに印刷された要素を買ったものごとに分解し、1枚のレシートにある複数の明細を複数行に分けて入力してみよう。最初の列に日付、次に店名、買ったもの、税抜き価格の4列あればいい。この4つの項目があれば小計と合計はいつでも計算で算出できる。そして、この方法なら何百枚のレシートがあっても1枚のシートに落とし込める。このシートがあれば、店名順、日付順、買ったもの順に並べ替えたりするのもカンタンだし、年ごと、月ごと、週ごとの集計もたやすい。

 実は、レシートを発行するお店でやっていることは、1品をレジに打ち込むたびに、Excelの表にデータを入力しているようなものだ。そして決済が完了したところで、その証拠としてレジスターがレシートを印刷するわけだ。発行する側も裏側ではいろいろ複雑なことをしていて、途方もない数の例外処理もあるだろうが、基本的にはそういうことだ。Excelのシートがあれば美しくて見やすいレシートはすぐに作れるということでもある。

 

会議事録をExcel

 同様に、Wordの文書も、それをExcelに落とし込めないか考えてみる。たとえば会議の議事録ならどうだろう。議事録ならExcelよりWordで作った方が体裁を整えやすい。計算の必要もないので普通は最初からWordで作るだろう。

 記載されている項目としては、日付、参加者、記録者、議事といったところだろうか。これらを列に設定する。計算の対象はない。場所についてはコロナ禍の昨今、オンライン会議などもあってややこしいが、会議室名としてオンライン会議室という項目を用意して、チェックマークをつけるようにすればいいだろう。メンバーの少ない組織なら参加者もチェックマーク式でいいかもしれない。これで週に何度となく開かれる会議の議事録もまとめて1枚のシートに落とし込める。何千回の会議でも1枚のシートにだ。ちなみにExelセルに入る文字量上限32,767文字だ。日本語だと半分の16383.5文字、400字詰め原稿用紙約40枚分だ。どんな議事でもそのくらいあれば十分だろう。

 非定型で手作業でしかできないと思い込んでいた作業も、そのほとんどは1枚のExcelのシートにまとめることができることがわかる。それが理解できればその先のデジタル処理はたやすい。手書き文字がデジタル化されることが本質ではない。デジタル化すれば分析しやすく、そして探しやすくなり、再利用や改善が容易になるということが大事なのだ。Excelのシートに落とし込めるかどうかは、一連の物理作業を構成する、ある種の構造を抽出できるかどうかを確認する作業だ。その構造が明確になったところでデジタル処理に置き換える。それがデジタル移行の試金石でもある。