定番ワープロに再挑戦
日本語ワードプロセッサーの定番といえば、やはりMicrosoft Wordだ。あらゆる現場で使われている。DTPアプリなみに相当複雑なレイアウトもこなすので、通常の文書作成にはもはやオーバースペックになってしまっている。
それでもWordを使おうというのは次の要素を満たしているアプリが他にないからだ。
1. ページの概念を忘れて先頭から末尾まで連続したイメージで編集できる
2. フォントの種類やサイズはもちろん文字色などの装飾ができる
3. 図版を貼り付けることができる
4. リンクを設定できる
5. 表を簡単に作れる
といった実にシンプルなことさえできればいいのだが、テキストエディタの次は一足飛びにオーバースペックアプリになってしまう。OneNoteはこれらの要望をかなえるアプリだとは思うが、フリーカーソルで文書内のオブジェクトがブロック単位になってしまうのに、どうしても馴染めず使わなくなってしまった。デスクトップ版のOneNoteの将来がよくわからない状態だというのも気になる。Wordのように、ここまで普及しているアプリなら、そのデータを誰に渡すときにも困らない。
文書は最終的に他人に渡すために作ることが多い以上、誰もが使っているアプリという長いものには巻かれざるを得ない。というか、誰もが使っているアプリは流通している情報の量も多い。困ったときにもGoogleなどで調べれば、すぐに解決できることが多い。そういうメリットもあることを忘れないようにしたい。
表示に最適化したカスタマイズを試みる
そこでWordをカスタマイズしてみる。
1については「Webレイアウト表示」にするだけでいい。ページの区切りなどを気にせず、先頭から末尾までをシームレスに編集できる。ただ、Wordはデフォルトの文字フォントとして「游明朝」を使う。印刷を前提とするならそれでもいいのだが、画面での視認性には疑問符がある。そこで、デフォルト文字フォントは「メイリオ」を使うことにする。また、デフォルトの文字サイズは10.5ポイントだが、これはそのままにして、印刷する際に特にいじらなくてもいいようにしておく。表示が小さく感じられるなら表示倍率を上げればすむ。Wordの右下の倍率をクリックしてズーム倍率を指定できる。
Wordは「テーマ」とそこに含まれる複数の「スタイル」で文書の見かけ体裁を整える。テーマに各種スタイルがぶらさがっているイメージだ。テーマごとに基本となる見出し用と本文用のフォントパターンをあらかじめ設定しておき、その他のスタイルについては基準にするスタイルから派生させる。デフォルトで使われるテーマは「Office」だ。
テーマを新規に作成しておこう
ここからがややこしい。
デフォルトの「Office」テーマは画面表示編集用にはつらいので、新しく表示用のフォントパターンを作る。おおまかに次のような手順になる。といってもフォントをすべてメイリオにするだけだ。
テーマはフォントを司る。「デザイン」タブの「フォント」で最下部にある「フォントのカスタマイズ」から英数字と日本語についてベースとなるフォントを指定する。見出しと本文の両方ともメイリオで、見出しについてはボールド指定する。メイリオフォントの画面表示視認性は抜群で、今もこれを超えるものはないとぼくは思っている。好みによっては見出しを「BIZ UDPゴシック」などにしてもいいだろう。サイズを少し大きくしてもいい。これらはプロポーショナルフォントなので英数字用、日本語文字用ともに同じフォントで問題ない。そして「表示用」という名前をつけておく。
そのままではメイリオなどのフォントの行間が開きすぎるので、「ホーム」タブの「スタイル」で、「標準」スタイルを右クリックし、「変更」で表示されるダイアログボックス内の「書式」ボタンをクリック、「段落」で「1ページの行数を指定時に文字を行グリッド線に合わせる」のチェックを外す。そのままOKで元のダイアログに戻って「このテンプレートを使用した新規文書」のラジオボタンをオンにして完了だ。
これで文書を作成するときに、表示用フォントパターン、印刷用フォントパターンを切り替えるだけで表示に最適化された編集画面が得られる。