編集作業をしたら、保存しないと作業内容が失われる。まことしやかにパソコンの入門書に書いてあった当たり前は、今や、自動保存などの機能によって当たり前ではなくなりつつある。保存を意識しないのが新しい当たり前だ。でも、それでは困ることもある。
作業が失われないように
昔は、パソコンがよく固まった。固まるというのは、キーやマウスの操作をいっさい受け付けなくなるなどで、パソコンそのものをリセットボタンで再起動したり、電源ボタンを押しても電源が切れず、その長押しで強制的に再起動したりしなければならない状態に陥ることだ。あるいは、パソコンが固まらないにしても、突然、使用中のアプリが強制終了してしまうことも多かった。当然、そのときの作業内容は、保存していない限りは失われてしまう。場合によっては、編集中の画面がそのままモニターに映っているのに何もできなくなってしまうこともある。そういうときは、手元のスマホで画面を撮影し、あとで、それを見ながら、未保存のデータを自分の手で復旧したものだ。
今、パソコンやアプリがこうした状況に陥ることは少なくなったのはうれしい。ある程度の変更が加わったところで自動的に保存機能が働いて、作業結果が完全にゼロになってしまうこともない。
注意してほしいのは、ファイル名がついていないと自動保存はオンにならない点だ。特に、WordやExcelを使っている場合は油断できない。「文書1」といったファイル名がついていても、その場所が特定されない限りは自動保存ができない。一方、Googleドキュメントでは「無題のドキュメント」といったファイル名が暫定的につけられ、その名前でクラウドに保存されるので自動保存ができないという心配はない。適当なタイミングで適切なファイル名をつければそれでいい。
作業が失われるように
編集内容が失われても困るけれど、ちょっといじった結果が保存されては困る場合もある。もしかしたら編集するつもりがなくても、なんらかのキーをさわってしまって予期しない加筆が発生する可能性もある。1,000が10,000になったりしたらたいへんだ。過去に作成し、完成した文書は不用意にさわらないほうがいい。
だが、数表などでは、数値を入れ替えたり、対話的に表を操作したりで試行錯誤しなければならないことも少なくない。場合によっては読み取り専用で開くように設定してから参照するようにした方が無難だ。WordやExcleなら、ファイルタブの「情報」に「文書の保護」というボタンが用意されていて、そこで設定ができる。
ちなみに、同じ場所に「バージョン履歴」というボタンがある。これにはタイトルバーのファイル名のところからでもたどりつける。バージョン履歴を使うと、変更履歴機能をオンにしていなくても、過去の特定時点でのバージョンに戻すことができる。また、「やり直し」ボタンは、数百操作前の段階まで遡れるし、そこまでで自分が意図しないでやったことはないかどうかを確認することもできるので覚えておくと便利だ。