今、パソコンで作られる文書は、画面で読まれることが多い。印刷されることがまれなら表示を優先して作るべきではないか。作るときの負担が軽減され、読む側の負担も軽くなる。
弊害をもたらすA4前提の文書作成
文書類といえばA4サイズ。ビジネス文書はほとんどそうだ。一部で使われたBサイズ系の文書も見かけることは少なくなっている。だから、パソコンで文書を作るときにはほとんどの場合A4サイズの用紙に印刷することが前提になる。
だが、できあがったA4の書類が誰かに届けられるとき、紙であるとは限らない。特に、ビジネスの現場では、メールに添付したり、ファイルを共有するなど、データファイルのままで手元に届くのがほとんどではないだろうか。
これらのコミュニケーションはパソコンやスマホで行われる。必然的に届いたデータファイルもパソコンやスマホで読むことになる。印刷するのはまれだ。
画面でしか見ないのに、A4サイズに印刷することを前提にした書類である必要があるのだろうか。むしろ、弊害の方が多くなってしまわないだろうか。
スクリーンサイズに依存しないように文書を作る
文書を各種機器のスクリーンで表示するときに問題になるのは、それぞれの機器でスクリーンのサイズが異なることだ。しかも、フルスクリーンで見られるとは限らない。サイズのことをいえば、ちょっと前まで15.6型スクリーンのノートパソコンが主流だった。昨今では、モバイルノートパソコンのトレンドで、いったん13.3型に落ち着いたが、それを少し大きなサイズへとシフトしようとする動きもある。モバイルモニタや大型の外付けモニターを使うユーザーもいる。要するにまちまちだ。
いずれにしても、A4サイズに印刷された書類を表示して読むには、スクリーンが小さすぎることが多い。作るときもやっかいだし、読むときもたいへんだ。さらにスマホのスクリーンはもっと小さい。大型化しているといっても6型を少し超えるくらいだ。
だったら作るときにスクリーンのサイズに依存しないように文書を作れる環境を用意すればいいのではないか。そして、読むときはスクリーンサイズを問わず、読みやすくして表示ができるようにする。
テキストはスクリーンやウィンドウの横幅で折り返し、好きなサイズ、フォントで表示できるようにし、ページの概念を持たせずに、縦スクロールだけで読み書き進められるようにするのだ。ただ、図版や表についてはそれだけでは難しく、見にくければそこだけ手動で拡大してもらうしかなさそうだ。事実上、これは退化に等しいかもしれない。でも新しい当たり前はその先にある。それを見つけなければならない。
そのくらいの低いハードルを前提にして、アプリ環境を考えてみることにする。
本当はウェブがそうなっているべきだったのだが、今となっては遅しといったところか…。