WindowsにはMDIという考え方があった。マルチプル・ドキュメント・インターフェースといって、ひとつのアプリウィンドウで複数の文書を扱うときの対話機能だ。ウィンドウの中に子ウィンドウを開くので、実にややこしかった。この機能、現在では、タブというかたちでその片鱗が残っている。
タブで十把一絡げ
実は、WordやExcelもMDIを使っていた時期があった。今は、Officeアプリは文書ごとに別のウィンドウが開くようになったので、マイクロソフトはそこから一歩ひいた立ち位置にいるように見える。
その一方で、ブラウザーのEdgeやChromeブラウザーでは、ひとつのウィンドウで複数のサイトを開く。切り替えのためのタブ機能はお馴染みだ。また、PDFを見るときに使うAdobe Readerもタブで文書を切り替える。
たとえばYouTubeでセミナーを見ているとしよう。講師の話の中で気になるキーワードが出てきたとする。普通はここで話を聴き続けながらも、ブラウザーを使ってそのキーワードについて検索して詳細を追っかける。ただ、ブラウザーはYouTubeを再生し続けているので、新しいタブを開くことになる。でも、そうすると、YouTubeの再生画面は見えなくなってしまう。ブラウザーというアプリの中で、YouTubeと調べ物サイトという異なるドキュメントが開いていて、それをタブで切り替えているので仕方がない。
Adobe Readerも同じだ。複数のPDFを開いて、その両方を同時に参照したいときに不便を感じていないだろうか。
アプリのようにサイトを使う
もし、YouTubeが独立したアプリだったらどうだろう。別のアプリならセミナーの再生を表示しながら、ブラウザーを開いて調べ物ができる。
いちばん簡単なのは、タブをつかんでブラウザーのウィンドウの外にドラッグして切り離してしまう方法だ。これでブラウザーのウィンドウはふたつになって、それぞれを独立して使えるようになる。この方法はAdobe Readerでも同様だ。
もうひとつの方法は、YouTubeに限らず、特定のサイトを、あたかもアプリのように扱う方法だ。ブラウザーで特定のサイトを開いた状態にして、ウィンドウ右上の・・・メニューを開き、Edgeなら[アプリ]-[このサイトをアプリとしてインストール]を実行する。Chromeでは、[その他のツール]-[ショートカットを作成]を実行し、「ウィンドウとして開く」を指定して作成する。
これでブラウザー固有のツールバーやタブを持たないシンプルですっきりしたウィンドウが開くので、必要に応じてタスクバーにピン留めしておけば、まるでアプリのようにサイトを使うことができるようになる。
個人的には、ひとつのブラウザーで複数のタブを開いて切り替えるよりも、後者の方法でアプリのようにサイトを使い分ける方が好きだ。ウィンドウの切り替えをタスクバーだけに頼れる使い勝手のよさも大きい。この方法でfacebook、facebook MessengerやGoogle Keep、Twitter、Netflix、日経新聞やNHなどの各種ニュースサイトなどをWindowsのタスクバーにピン留めしてある。
そもそもブラウザーにすべてのタブを一気に閉じる方法が用意されていないのはなぜなのか。こればかりは永遠の謎だ。