2020/10/05

魔法のようにパソコンを使う


 知っている人にとっては当たり前のことでも、知らない人には魔法。パソコンの使い方はそれぞれであるだけに、そんな場面が少なくない。パソコンをより使いやすくするための創意工夫が許されているなら、きっと魔法使いになれる。でも、世の中はそううまくはいかない。


組織と個人にとってのパソコン

 仕事で毎日のようにパソコンを使っていても、大きな組織の場合は、深刻なトラブルで業務が止まってしまうことを警戒し、パソコンを使うそれぞれのエンドユーザーが自由にパソコンを設定できないようにしていたりする。だから、個々の創意工夫で使いやすくしようとするのは難しい。その結果、今の状態よりもパソコンを使いやすくしようという意欲も薄れ、与えられているパソコンを与えられたままで使わざるをえなくなる。

 その点、個人が使う個人のパソコンは、自己責任で自由にできる。仕事が止まってしまって困るのは組織の大小には関係ないし、個人だって同じだが、トラブルは自分で解決するのを前提に使い勝手を高めることができる。

 今、コロナ禍のもと、家庭で使われるコンシューマー用のパソコンの売れ行きが好調だという。在宅勤務などで自宅で使うパソコンとして購入されているものであることは想像に難くない。組織としては、本当は、自宅で使うパソコンも貸与して管理下におきたいのはやまやまなのだろうが、なかなか対応できないというのが実状だろう。だから従業員が自分で調達した私物のパソコンで仕事をすることを認めざるを得ないという状況が起こってもいる。

 いいのか悪いのかよくわからない状況だ。組織の管理下にないパソコンを使って仕事をしていて、何かが起こったときにはどうするのか。セキュリティ上の懸念もあれば、アプリのトラブルもある。個人ごとに環境が異なるので、トラブルの原因を特定するのも難しい。

 

ニューノーマルなパーソナル

 従来の当たり前では、そういうことがないように、従業員全員が、同じように設定されて変更ができないようにしたパソコンを使うように強要し、組織が決めたルールのもとにネットワークに接続して業務を進めてきた。

 新しい当たり前ではそれがどうなるのか。今までと同等、あるいはそれ以上のセキュリティを確保しながら、個人のパソコンを個人のものとして尊重することも求められるだろう。

 そりゃそうだ。コスト的には組織の補助があるかもしれないとはいえ、自分のために自分のカネで買ったパソコンだ。それが自由にならないのは理不尽だ。壁紙くらいは変えたいだろうし、使い終わったらシャットダウンしろというのではなく、次にすぐに使えるようにスリープ状態で待機させたい。それらを許さない企業も多いのだ。

 スマホのようにコンパクトならものなら、会社用と個人用の2台を併用するのも苦にならないかもしれないし、プライベートと業務を区別できるというメリットもある。でも、パソコンをそのときに応じて2台使い分けるというのは難しいし、煩雑になる。何よりも無駄だ。カバンに2台入れて持ち歩くというのもたいへんだ。いや、パソコンはプライベートでは無用の長物だからというのは、おそらくこれからの時代に、そんなことはありえない。

 さて、どうすればいいのだろう。とにかく今こそ、ニューノーマルなパーソナルコンピューターのあり方を、ちゃんと考える必要がある。