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2020/11/30

今こそもう一台パソコンを手に入れよう


 常用するパソコンが複数台あると不便というのは今は昔の話だ。あの部屋用とこの部屋用、外出用と在宅用、ねこの手も借りたいときのためにと、いろんな用途で併用すると、びっくりするほど便利な世界が手に入る。

データの往復からの解放

 確かに昔はめんどうだった。AB2台のパソコンがあって、Aで作業した結果をUSBメモリーやSDメモリーカードに保存し、別のパソコンで読み込んで作業の続きをやるのは、とてつもなくめんどうだ。

 ウソつけ、おまえの時代はフロッピーディスクだろうと言われそうだが、フロッピーディスクの時代は、考えようによってはフロッピーディスクがオリジナルだったのでかえってラクだった。自分で自分にメールするという文化が生まれたのにはこんな背景があった。

 ときには、どのデータが最新だったのかわからなくなってしまうこともある。だから、すべてのデータは1台のパソコンに集約するのがいちばんだという考え方もあった。個の時代は決して短くはなかった。

 今は違う。クラウドにデータを置けば、パソコンが何台あっても同じデータを参照できる。クラウドストレージと、パソコンローカルのストレージを同期させれば、どのパソコンでデータをいじっても、ほぼ瞬時にデータはクラウドに同期され、クラウドのデータは別のパソコンと同期される。つまり、複数台のパソコンのデータは常に同じであるように保たれる。だからクラウドを使わないという選択は、ものすごくソンをしていると考えた方がいい。

 この便利さはメールがダウンロードするものではなく、クラウドに置いたまま参照するようになって得られた便利さと同じだ。それができるようになって、パソコンやスマホが何台あっても、何も気にすることなくメールを読み書きできるようになった。それができるようになるまではとてつもなく不便だった。その不便さは今のLINEに近かった。

 

クラウドが使えてこそのマルチデバイス

 さらに今は、同一のファイルを複数のパソコンで同時に編集するのもかんたんだ。これまた昔はタブーで、ファイルは排他使用が当たり前だった。編集する前にチェックアウトしてファイルをロックして他人が触れないようにして、編集が終わったらチェックアウトしてロックを解除というのがファイル共有の一般的な作法だった。

 今、WordExcelといったOfficeアプリの文書ファイルなら、クラウドに置いて、それを複数台のパソコンで編集することができる。Google Workspaceだって同様だ。たとえば2台のパソコンを並べて同じ文書を開き、離れた部分を参照しながら、新たに文章を追加で入力していくといった用途にも使える。

 あるいは外出先で書き込んだメモについても、自宅や職場に戻って、そのパソコンを開く必要はない。別のパソコンを開いて、当該ファイルを参照すれば、さっき書いたメモがそこにすでにある。カバンの中のパソコンは、いっそのことカバンに入れっぱなしで、次の外出に備えて充電だけしておけばいい。

 これからの時代は、きっと子どもたちが、この恩恵を受けられるようになるだろう。学校に置きっぱなしのパソコンと自宅の勉強部屋のパソコンが、クラウドに置かれた同じデジタル教科書とデジタルノートを参照できるからだ。その環境が当たり前になることを祈りたい。