2020/11/09

ページはつながっている


 もはや全部が手書きの文書というのはありえないと思う。だが、体裁こそデジタルになっても、手書き時代の作法がいたるところに残っている。

改行やスペースで文書の構造を崩さない

 ワープロで文書を作れば、その加筆修正をしても、その痕跡は残らないというメリットが得られる。誰もが知っていて、誰もが享受している特徴だ。

 だが、文書の作り方によっては、加筆修正がとてもたいへんな場合がある。

 たとえば、日本語でいうところ段落の切れ目以外で改行しているような場合を散見する。インデントなどの機能を使わずに、改行やスペースの挿入で見栄えを整えているようなケースだ。

 また、とにかくA4タテの用紙1ページに収めるために、いろんなところで工夫をしてしまっているケースもある。

 こうした文書に加筆修正を加えた結果、1行だったものが2行になってしまい、文書全体の体裁を一から整える作業が発生したりもするわけだ。

 

ページを考えるからややこしくなる

 紙がもったいないとか、最後のページが1行しかないといったことは、もう気にしない方がいい。そもそも紙に印刷されることはまれなのだから紙についてはいったん忘れること。そして、ページそのものについて、前のページと次のページは、切れ目なくつながっているという新しい当たり前を受け入れた方がいい。

 そういう意味では、時代劇などでよく目にする、毛筆の手紙をしたためた巻紙はよくできていたのだと今にして思う。なにしろページの概念がないからだ。もともとはページに分かれている用紙を横につないで作ったらしい。巻紙なら、どんなに長い手紙でも1ページになる。ページがないのが前提の長い用紙を、スクロールして読むという行為を、あんなに昔からやっていたのだからすごい…。