日常生活を犠牲にせずにサウンドを身にまとう
個人的な日常としては、コロナ禍によって、オンラインイベントが急増し、リアルな発表会等が激減した。また、ちょっとしたミーティングや打ち合わせも、また、インタビューなどについても、複数のスタッフが顔を合わせる方法としてTeamsやZoomのようなオンライン会議システムが使われるようになった。
その変化がスマートデバイスのサウンドという面を見直すことにもなった。
日常的な私鉄やJR、地下鉄などでの移動はもちろん、飛行機や新幹線での移動も激減し、移動時間に高音質で音楽を楽しもうという気持ちが少し薄らいでしまったムードもある。そして、サウンドに「スマート」な側面を見出そうとするようになった。
そこで出会ったのが骨伝導ヘッドフォンだ。耳穴につっこむカナル型のイヤフォンを好んで使ってきたが、骨伝導ヘッドフォンは耳穴をふさがない。こめかみのあたりにアクチュエーターと呼ばれる振動体を接触させ、自分の頭蓋骨をスピーカーのコーン紙のように使って振動させることでサウンドを伝える。頭の後方に目があって、そこに本来とは逆向きにメガネをかけるようにして装着する。
骨伝導ヘッドフォンは、耳穴をふさがないので、遮音性はゼロに等しい。ノイズキャンセルの機能も実装は無理だろう。だが、当たり前のことだが、いつでもまわりの環境音が聞こえることや、誰かとの会話においても影響はいっさいない。つまり、再生される音楽を身にまといながら、日常生活が支障なく送れるということだ。コンビニでの買い物にも不便はないし、居宅で丸一日つけっぱなしでもコミュニケーションに困らない。離れたところで充電しっぱなしのスマホに電話がかかってきたり、玄関ドアが鳴ったとしても普通に対応できる。その約26グラムという重量はつけていることを忘れるくらいだ。
スマホやパソコンとの接続はBluetoothによるワイヤレスヘッドフォンだ。コーデックは非公開だがSBCのみに対応しているようだ。マルチポイントに対応し、ペアリングした2台のデバイスと同時に通信することができる。音楽の再生などは早い者勝ちだ。つまり、パソコンでの会議中に、スマホに着信した電話に対応するといったことができる。
本当は装着してみて体験してから選びたい
AfterShokzは、骨伝導ヘッドフォンのパイオニア的メーカーで、製品ラインアップは多岐にわたる。AEROPEXは、その最上位に位置する製品だ。ブームマイクを搭載したOPENCOMMや、コストパフォーマンスが高いOPENMOVEなど、各種製品がラインアップされている。各製品共に得られる機能という点ではほぼ同じだ。ただ、各製品を試してみたが、AEROPEXがもっとも快適にいっしょに1日を過ごせると感じた。こればかりは頭のサイズや形などに依存するので、本当は店頭などで試すことをおすすめしたいのだが、コロナ禍では、ちょっとためらってしまうかもしれない。
ちょっとだけ不満があるとすれば、充電用の端子が専用のマグネット式ポゴであるところだろうか。充電用ケーブルはパッケージに2本同梱されていて自宅用と外出用に使えるなどの配慮はあるが、やはりここは汎用のType-C端子であってほしかった。ちなみに、製品ラインアップの中でも最廉価なOPENMOVEはType-C端子での充電仕様だ。むしろ専用端子の方がコストが高いがゆえの上位の位置づけだと思われる。防水規格対応との関係もあるのだろう。だが、使い勝手という点、断線等のトラブル対応という点では、汎用的な端子が安心だ。