存在を忘れられるのが最高
まだコロナ禍が、恐怖として現実味を帯びていなかった昨年の暮れ頃、本当に忘れるくらいの存在だったWi-Fiルーターの調子がおかしくなってきた。ルーターは電源を入れて稼働を始めたらそれっきりで存在を忘れるくらいでちょうどいい。最初に初期設定をすませて設置場所に置いたら、そのままずっと本体には一度もさわらず、欲をいえば、設定等も何もせずに使い続けたい。
以前使っていたルーターもバッファローの製品だったが、それに近い稼働を続けていた。それが突然の不調で、インターネットとつながっているはずなのに、パソコンやスマホからインターネットが使えない状態になる。仕方がないので、しょっちゅうコンセントを抜いて挿し直し、電源を入れ直す。それで復旧するのだが、有線でそのルーターにつないでいるパソコンについては問題は起こらないので、無線部分がおかしくなっている様子だ。
さらに、ルーターの設置後、数ヶ月ほどが経過したころ、宅内に設置している3つの有線LAN用スイッチに接続されているデバイスのひとつのデータ転送速度が異様に遅くなったので、本体を持ち上げてみるとカラカラと音がする。これも見直しが必要だ。
ということで、ルーターとスイッチを総入れ替えして、宅内のネットワークの再編成をしたた。どちらも10年近く、いや、もっと長い間使ってきた機器なので、完全にダメになって使えなくなってしまってからではなく、稼働できているうちに交換することにした。まさか、コロナがこんなに蔓延すると思っていなかったのだが、結果的に自宅にいる時間は長くなる一方で、さっさと整備しておいてよかったと思っている。このあたりの顛末記については【山田祥平のRe:config.sys】先従隗始、まずは宅内ネットワーク - PC Watchにコラムを書いているので、よかったら読んでみてほしい。
インフラは未来への投資
WXR-5950AX12は、Wi-Fi6ルーターだ。購入時点で手持ちのWi-Fi6デバイスは一台もなく宝の持ち腐れだったが、この先5年以上は使うだろうと考えると、非対応機は選択肢としてありえない。実際、設置後の約1年間で、手持ちのWi-Fi6対応デバイスも増えてきている。
Wi-Fi6は802.11axという規格の別名だ。それまで最高速だったWi-Fi5(802.11ac)と比較して3.1倍の高速通信が可能だという(バッファロー調べ)。ただ、実際に接続しても、あまり速くなった感じはない。ヘビーなトラフィックが同時多発的に起こるような環境ではないのでその恩恵は感じにくいのだ。
この製品を選んだのはLAN側とWAN側に、ひとつずつ10Gbpsポートが装備されていることだ。といっても宅内に引き込まれたインターネットは1Gbps契約だし、回線終焉装置(光モデム)も1Gbps、また、宅内の有線LAN配線も規格的には10Gbpsの通信はできない。短い距離なので10Gbpsでリンクする可能性がないとは限らないという話もあるが、宅内の壁に埋め込んだケーブルはすでに20年以上が経過しているのであまり期待はしていない。それでも当時、1MppsのADSLもまだという時代に、けちらないでいいケーブルを埋め込んでおいてよかったと思う。20年間以上、宅内LANがギガイーサになっても、その存在を忘れていられた。インフラというのはそういうものだ。だからルーターも最高性能のものを選んでおく。3年後にルーターを入れ替えて煩雑な作業をやり直さなくてもよくするための未来への投資だといえる。