汎用電源としてのPower Delivery(PD)
最新のパソコンの多くは、拡張ポートであるType-C端子を使って外部から電力を供給することができる。これは、USB Type-C Power Delivery(PD)という規格によるもので、データ伝送と電力供給の両方をこなすことができるのだ。これから買うパソコンなら、絶対にPD充電ができるものを選ぶべきだ。
パソコンについてくる電源アダプターは、これまではバレルコネクターと呼ばれるプラグがついたケーブルが使われていた。バレルというのは体積の単位だが「樽(たる)」が語源だ。ビヤ樽というか、お馴染みの円筒型ジャックだ。パソコンごとに電圧も異なれば、口径も違っていた。場合によってはプラスマイナスも反対だったりして、口径が同じだからといって装着すると、最悪の場合、パソコンが壊れるといった悲劇もあった。
しかも専用といいながら、電源アダプター本体にどの機器用のものかが記載されていないことも多い。
電源アダプターの能力は、そのアダプターが供給できる電力量で示す。単位はワットだ。多くのパソコンは45ワットあれば、ほとんどの場面でバッテリーを消費することなく使える。60ワットあればさらに安心だ。また、超高性能ノートパソコンの場合は、処理に大量の電力を消費するため、100ワットないと使っているうちにバッテリーが減るようなこともある。
その一方、スリープ中ならもっと小さい電力でも充電ができるような仕様のパソコンもある。そういうパソコンでは18ワット程度のスマホで使うような小さな電源アダプターでも充電ができるので便利だ。iPhoneもAndroidスマホもPDを採用するようになって、あらゆる機器のACアダプターが共通化することができる。
機器ごとに受け取れる電力の最大値が仕様として決まっているので、それを超える大きな電力を供給できるアダプターをつないでもいいことはない。大は小を兼ねる程度に思っておこう。
パソコンで使うPDは45ワットを目安に
PDは業界標準の規格なので、それに準拠した製品なら、パソコンメーカーの純正品にこだわることはない。しっかりしたメーカーの製品で、仕様としてPD対応と謳われているものであれば何でも大丈夫だ。そうはいっても規格違反の製品があったりするので注意は必要だ。
製品を選ぶときには、そのACアダプターの能力をチェックする必要がある。先に書いたように、パソコンなら45ワット以上が目安だ。スマホやタブレット用の18ワット、20ワット、30ワットといったアダプターでも電力供給ができるパソコンもあるが、使いながらの充電は難しいと考えていい。使いながら充電できたとしても時間がかかる。バッテリーを消費しないように使うのがやっとといったイメージだ。さらに、45ワット未満の電力は拒絶するような仕様になっているパソコンもある。それでもスリープ状態のパソコンなら、スマホ用のPDアダプターでもフル充電できるというのはうれしい。電力が小さいアダプターはコンパクトなので非常用に携行するにも負担がない。
これまでは、パソコンについてきたACアダプターをパソコンといっしょに持ち運んでいたかもしれない。でも、汎用のPD対応ACアダプターを複数用意して、パソコンを使う可能性のあるところすべてに設置しておけば、パソコン本体だけを持ってウロウロできる。それが自宅と職場であっても、自宅内の寝室とリビングであっても、いつでもどこでも電源を確保できるというのは思った以上に便利なものだ。しかもスマホと兼用できるのもうれしい。
それだけでパソコンを持ち運ぶときの機動力が高まるはずだ。