文書の内容と見かけは別のもの
書籍の単行本は人気のあるものについては、ある程度の期間を過ぎるとA6サイズの文庫本として出版される。雑誌の人気連載も単行本として出版されることは多いし、コミックも同様だ。
内容はほぼ同じだが、その見かけは全然違う。文章中心の書籍は、判型の変更で字組が大きく変わるし、少年誌コミックなどはB5版のサイズが新書版にまで縮小される。
さらに、近年は、電子書籍も増えてきた。それこそ、どんなデバイスでどのように読まれるのか、書き手にはわからない。
わからないからこそ、書くときには留意が必要だ。それは、仕事で書く企画書や報告書などでもいえる。
書き方を変えてみる
まず、読まれるときのスクリーンサイズはまちまちなので、1行の折り返し位置もまちまちだ。どこで折り返されてもかまわないように、見かけを整えるための改行は避けよう。改行するのは段落を改めるときだけにする。
センタリングや右寄せ、左寄せについては、必ず、そのための機能を使おう。間違ってもスペースなどを挿入して位置を調整してはいけない。今見ているセンターは、自分にとってのセンターなのであって、誰にとってもセンターであるとは限らない。右端も同様だ。
タイトルや見出しは、アプリの機能を使って指定する。文字のサイズや書体を変えただけでは、それがタイトル、見出しであることが伝わらない可能性がある。
写真や図版を入れるときには段落間に置く。図版で文字が折り返すような機能を使うと、意図しない位置に表示されるかもしれない。どんな環境で表示されても図版を入れたつもりの位置に、確実に表示されるようにするには、段落間に置くのがもっとも手っ取り早い。ただサイズについては悩ましく、まだ正解がない…。
これだけのことを注意するだけで、文書のポータビリティは大きく向上する。今、書いている文書を、WordのWebレイアウト表示や、スマホでの表示で見てみよう。それでちゃんとつじつまがあうかどうかをチェックすればいい。