2021/03/26

書き方の新しい当たり前


 文書を書くときには、そのとき書いているそのままの見かけで読まれることはまずないと考える。それが新しい書き方だ。

文書の内容と見かけは別のもの

 書籍の単行本は人気のあるものについては、ある程度の期間を過ぎるとA6サイズの文庫本として出版される。雑誌の人気連載も単行本として出版されることは多いし、コミックも同様だ。

 内容はほぼ同じだが、その見かけは全然違う。文章中心の書籍は、判型の変更で字組が大きく変わるし、少年誌コミックなどはB5版のサイズが新書版にまで縮小される。

 さらに、近年は、電子書籍も増えてきた。それこそ、どんなデバイスでどのように読まれるのか、書き手にはわからない。

 わからないからこそ、書くときには留意が必要だ。それは、仕事で書く企画書や報告書などでもいえる。

 

書き方を変えてみる

 まず、読まれるときのスクリーンサイズはまちまちなので、1行の折り返し位置もまちまちだ。どこで折り返されてもかまわないように、見かけを整えるための改行は避けよう。改行するのは段落を改めるときだけにする。

 センタリングや右寄せ、左寄せについては、必ず、そのための機能を使おう。間違ってもスペースなどを挿入して位置を調整してはいけない。今見ているセンターは、自分にとってのセンターなのであって、誰にとってもセンターであるとは限らない。右端も同様だ。

 タイトルや見出しは、アプリの機能を使って指定する。文字のサイズや書体を変えただけでは、それがタイトル、見出しであることが伝わらない可能性がある。

 写真や図版を入れるときには段落間に置く。図版で文字が折り返すような機能を使うと、意図しない位置に表示されるかもしれない。どんな環境で表示されても図版を入れたつもりの位置に、確実に表示されるようにするには、段落間に置くのがもっとも手っ取り早い。ただサイズについては悩ましく、まだ正解がない…。

 これだけのことを注意するだけで、文書のポータビリティは大きく向上する。今、書いている文書を、WordWebレイアウト表示や、スマホでの表示で見てみよう。それでちゃんとつじつまがあうかどうかをチェックすればいい。